The Unthanks / Live and Unaccompanied : Diversions Vol. 5(2020)

 

ジ・アンサンクスはイングランドは北東端のノーサンバーランドでリヴァイヴァリストの両親に育てられたレイチェルとベッキーのアンサンク姉妹を中心とした5人組で、既に6枚のオリジナル・アルバムと4枚のDiversions Seriesをリリースしています。そのディヴァージョンズ・シリーズ(寄り道シリーズ?)でロバート・ワイアットやアントニー&ザ・ジョンソンズ、 モリー・ ドレイク(ニックの母親です)の楽曲を取り上げ彼らに敬意を表したり、スティングのアルバムに参加するなど、フォーク・ミュージックのカテゴリーに収まらない活躍ぶりです。 

 

本作はディヴァージョンズ・シリーズの5作目で、この5月にリリースされた最新作。いつもは姉妹にプロデューサーでピアニストのエイドリアン・マクナリー、ベースとギターのクリス・プライス、ヴァイオリンのニオファ・キーガンを加えた5人でライブを行うアンサンクスですが、 「Unaccompanied, As We Are」と名付けられた昨年の春のツアーは少し異なっていました。姉妹にニオファを加えた女声トリオのみによる無伴奏ツアーで、英国とアイルランドの31か所を巡ったなかから選りすぐりの13曲が収められています。 

 

13曲中トラッドは3曲、他にコニー・コンヴァース、デイヴ・ドッヅ、ピーター・ベラミー、ジョニー・ハンドル、モリー・ドレイク、リチャード・ドウソン、グレイム・マイルズなど渋めのソング・ライターの楽曲が並ぶさまは流石アンサンクスと云ったところです。 

 

なかでも〈Magpie〉は秀逸。もともとロック・バンド、レッド・ジャスパーのデイヴ・ドッヅが書いた楽曲で、Jim Mageean & Johnny Collinsが1982年の『Live at Herga!』で取り上げていました。Jim Mageean & Johnny Collinsのジムは姉妹の父親ジョージ・アンサンクとは地元ニューカッスルで伝説的なフォーク・グループ、キーラーズの仲間同士。またニューカッスル大学でフォーク・ミュージックの学位コースを持っていたジムはアンサンクスがトラッドを唄ううえで公私ともに大きな存在であった筈です。 

 

そんなジムがかつて唄った「一羽なら悲しみ、二羽なら喜び。三羽なら娘、四羽なら息子。五羽なら銀で、六羽なら金。七羽ならそれは明かされたことのない秘密」と云う民間に伝わる数え歌をリフレインに持ったこのプログレ・ナンバーを、レイチェルとベッキー、ニオファはミステリアスながらも息の合った歌声でラルとマイクのウォータースン兄妹の〈Fine Horseman〉や〈The Scarecrow〉クラスの準トラッドに仕立てています。 

 

Special Film Editionということでアルバムにはツアーのオン、オフ・ステージを捉えた27分間のドキュメンタリー『As We Go』を収録したDVDが付いています。そのなかでレイチェル、ベッキー、ニオファはオープニング・アクトのティム・ダリングを加えアンコールで唄った〈Love Is Like A River〉でソウルフルなゴスペル・コーラスを披露。色んなことができる人たちなのですね。 

 

A1. One By One – Connie Converse 

A2. Magpie – Dave Dodds 

A3. I'm Weary of Lying Alone – Trad.  

A4. Geordie Wedding Set:  – Trad. (We'll Aal Be Wed in Our Auld Claiths / Hi Canny Man) 

A5. Griesly Bride – John Manifold, Tom Campbell 

A6. Bees (Honeybee – Connie Converse / The Bee-Boy's Song – Kipling, Bellamy) 

 

B1. Guard Yer Man Weel – Johnny Handle, The Unthanks 

B2. Poor Mum – Molly Drake 

B3. Where've Yer Bin Dick – Lea Nicholson 

B4. We Picked Apples in a Graveyard Freshly Mowed – Richard Dawson 

B5. Bread and Roses – James Oppenheim, Mimi Fariña 

B6. Caught in a Storm – Graeme Miles 

B7. Farewell Shanty – Trad. 

 

ご来店の際にリクエストしてください。

 

久々に聴いたJim Mageean & Johnny Collinsの『Live at Herga!』
〈Magpie〉はB面5曲目で、A面ではスタン・ロジャースの〈Northwest Passage〉を客席と大コーラスしています。

 

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