安宅浩司シングス高田渡

 
よしだよしこさんの新作『今日一人の友だちを見送って』は、高田渡さんの「鉱夫の祈り」で終わります。マウンテン・ダルシマーで弾き語られるよしこさんの「鉱夫の祈り」は数ある高田渡カヴァーのなかでも指折りの一曲と云っていいでしょう。
 
かつて、渡さんのベルウッド三部作『ごあいさつ』『系図』『石』をハンバートハンバート、おおはた雄一、ラリーパパなどの若手ミュージシャンにより、曲順も含めそっくりそのままカヴァーするというトリビュート・アルバムがミディクリエイティブからリリースされました。
 
その中で、安宅浩司さんも高田渡曲を数曲カヴァーしています。『ごあいさつ』では「ブルース」をミシシッピ・ジョン・ハートを髣髴させるフィンガーピッキングで、『系図』では「ミミズのうた」をギター、バンジョーなどをひとり多重録音し、歌っています。後半に聴けるエレクトリック・スライドは、実にカッコよく、まさにマルチ弦楽器奏者の面目躍如といったところです。
そして、極めつけは『石』での「火吹竹」です。オリジナルは中川イサトさんの粗削りなスライド・ギターが印象的な名唱ですが、ここで安宅さんはピアノをバックにスライド・ギターを弾きながらタイトル曲「石」と並ぶ名曲に挑んでいます。安宅さんの飄々とした歌声は、オリジナルとはまた別の深い味わいで、トリビュート三部作の大トリにふさわしい見事な出来栄えと思います。これも指折りの高田渡カヴァーでしょう。
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